第二 特殊調理 二、廃物利用調理

二、廃物利用調理

 

 軍隊炊事に於ける廃棄物は、真の廃物に非ずして利用の方法を研究せばことごとく役立つものなり。たとえば鳥、獣、魚の頭、骨、野菜の切り屑、米麦の淘ぎ汁等は調理に利用し得るものに

して、これらを利用することにより、たとい大なる経済上の利益無き場合といえども、国民学校たる軍隊においては「食物ヲ粗末ニシナイ」という精神上の効果大なるものあり。

 よってこれら廃物利用調理法につき左に二、三例示すべし。

 (1)上残飯はこれを蒸し返して次の主食に使用すること。

 (2)残りの「パン」は乾かして「パン」粉を造り、「カツレツ」、「フライ」等に使用すること。

 (3)鳥、獣、魚の頭、骨組は煮出して「スープ」を取り、味付けに使用するか、または「ソース」の材料とすること。

 (4)野菜類の切り屑は「コロッケ」の材料に使用するか、または前項と同様「スープ」、「ソース」に利用すること。

 (5)大根、人参、蕗等の葉を廃棄する者あるも、これらは汁の実または刻み漬等に利用すること。

 (6)米麦の淘ぎ汁は生野菜、乾鯨等の灰汁抜き、または笏の茄で水に利用すること。

  また蜜柑の皮のごときも刻みて酢の物、吸い物などの香料に利用し得。

 而して右のうち「スープ」として利用すべきものにありては、炊事場に一個の平釜を常に仕立て置き、毎食生ずるこれら廃物を投入し、なるべく炊事の余熱を利用して煮出すを良しとす。