日本料理 11 鶏の旨煮

第四章 基本調理

第一 日本料理

三、煮物類

(ニ)鶏の旨煮

材料

鶏肉 150g

蓮根 50g

玉ネギ 40g

人参 40g

里芋 80g

醤油

大豆 10g

砂糖(味醂

ゴマ油 2g

くわい 10g

準備

鶏肉は食べよい大きさに切っておく。蓮根、人参、里芋は回し切りとしくわいは四つ割ぐらいにする。

玉ネギは六つ割ぐらいにする。大豆は水に浸し茹でておく。里芋、くわいは火の通るまで茹でておく。

調理法

鍋にゴマ油を入れて火にかけ熱してから鶏肉をいれて炒め、次に大豆、人参、蓮根を加えて煠めさらに里芋、くわいを入れ十分煮た時分に玉ネギを入れ醤油、砂糖(または味醂)で調味し汁氣少なく煮上げる。

参考記事

鶏に限らず守株の肉を用い季節に従い種々の野菜を取り混ぜて作ることができる。

ただし、不可食分を除き計算する。鶏肉の可食分を35%、蓮根は80%、人参を95%とする。

日本料理 10 豚の味噌煮

第四章 基本調理

第一 日本料理

三、煮物類

(ハ)豚の味噌煮

材料

豚肉 150g

大根 60g

牛蒡 30g

人参 40g

里芋 60g

蒟蒻 30g

生姜 10g

醤油

白味噌 30g

赤味噌 20g

砂糖

準備

豚肉は小切り、蒟蒻は摘み切りとしゆでておく。大根、牛蒡、人参、里芋は廻し切り。

調理法

鍋を火にかけ熱したのち、豚肉を炒めて牛蒡、人参、蒟蒻を入れて共に炒め、湯を少量加えてさらに大根、里芋を入れ全部煮え上がる少し前に裏漉しにした甘味噌を加え砂糖で味を調え焦げつかぬように柔らかく煮込み、刻み生姜を混ぜて供卓する。

日本料理 09 どじょうの柳川

第四章 基本調理

第一 日本料理

三、煮物類

(ロ)どじょうの柳川

材料(一人分)

鰌 110g

野菜(牛蒡) 100g

鶏卵 50g

醤油、砂糖(味醂

準備

準備鰌は背開きをなす。牛蒡は笹掻きまたは千切りとしておく。

調理法

鍋に味醂(または砂糖)、醤油を調味して煮立て、牛蒡を入れやや煮えた時鰌を上に並べ煮て別に鶏卵を割よく掻き混ぜてこれを鍋の表面に平均にかけフタをしてしばらくして火から下ろし、余熱をもって鶏卵を半熟程度として供卓する。

煮すぎないよう注意を要する。

日本料理 08 煮肴

第四章 基本調理

第一 日本料理

三、煮物類

(イ)煮肴

材料(一人分)

魚(サバ) 180g

味淋または砂糖

醤油

準備

魚は三枚に卸し一人前110から150gに切りおく。

調理法

味淋(または砂糖)醤油と湯(または水)で調合した汁を沸騰せしめたる中に前に準備した魚を入れて煮上げる。

参考記事

魚はどんなものでも煮肴になるが主として赤身のものがよい。

日本料理 07 ナスのしぎ焼き

第四章 基本調理

第一 日本料理

二、焼き物類

(ヘ)ナスのしぎ焼き

材料(一人分)

茄子 220g

白味噌 40g

味醂(または砂糖)

胡麻油 5g

煮出汁

準備

茄子を横、縦いずれからでも二センチぐらいに切り二本の串に刺しておく。

味噌に味醂(又は砂糖)および少量の煮出汁を加え火にかけて掻き混ぜながら適当に煮詰めておく。

調理法

串に刺した茄子を胡麻油で火にかけて焼き両面に焼き色の付くころ味噌を塗り味噌の焦げないように焼き上げ温かい間に供卓す。

二、多人数の場合は茄子を適当に切り、鍋に胡麻油を入れ煮立て、茄子を入れ強火であぶり、味を調えた味噌を加え焦がさぬように煮上げればよい。

参考記事

この料理は茄子の皮が硬いといけない。

日本料理 06 卵焼き

第四章 基本調理

第一 日本料理

二、焼き物類

(ホ)卵焼き

材料(一人分)

鷄卵 110g

煮出汁

植物性油 3g

醤油、砂糖、味淋または砂糖

準備

一、煮出汁を作り、砂糖、醤油、味淋にて味附け冷ましおく。煎鍋(卵焼き鍋)に油を薄く塗り火にかけておく。

二、鶏卵を割ってその二分の一の量の煮出汁を加えかき混ぜておく。

調理法

一、卵焼き鍋に卵汁を入れ焦付かぬ様に焼き上げる。

二、多人数を一度に焼く時は最初焼いたものを芯にするようにして卵をすくい入れ安堵も繰り返して焼き上ぐ。

日本料理 05 焼牛

第四章 基本調理

第一 日本料理

二、焼き物類

(ニ)焼牛

材料(一人分)

牛肉 150g

味醂または砂糖

醤油

準備

牛肉を厚さ1センチ、重さ150g位に切り、味醂と醤油を混合した汁の中に二、三時間漬してておく。

調理法

汁の中に浸した肉を串に刺し火で焼き上げ、小口から薄く切って皿に盛り汁をかけ青菜の浸し等を添えて供す。汁は前の漬け汁を煮詰めたもので生姜の搾り汁または山椒を加えると一層風味がよい。

参考記事

ロース、ヒレ、ランまた豚、鶏肉を用うるも可なり。

日本料理 04 ウナギの蒲焼き

第四章 基本調理

第一 日本料理

二、焼き物類

(ハ)ウナギの蒲焼き

材料(一人分)

ウナギ 100g

醤油

味醂または砂糖

準備

ウナギを背から割いて内蔵・骨・頭を去り、二つに切り、皮と肉の間に串を3本刺す(一尾を一串とする)。醤油四分、味醂六分を煮詰めてタレを作りおく。

調理法

串を刺したるウナギを強火で皮の方から焼き、蒸籠(せいろう)で蒸しタレを三、四回かけながら肉の方によく色をつけて焼き上げ温かい間に供卓す。

参考記事

通例 一串400g位を大串、200g位を中串、120g位を小串といわれている。

日本料理 03 魚の照り焼き

第四章 基本調理

第一 日本料理

二、焼き物類

(ロ)魚の照り焼き

材料(一人分)

ブリ 150グラム

味醂

醤油

砂糖

準備

魚を三枚に卸し一人前(一五〇グラム位)に切り味醂、醤油、砂糖を調合した汁に浸しておく。

浸し汁は魚を取り出した後煮詰めて照汁とす。

調理法

魚を串に刺し火にかけて大方焼けたころ照汁をかけ、四、五回繰り返して焼き上げ(塩焼きの場合より弱目でなければ黒焦げとなり易いから注意をし)串を抜き皿に盛り適宜野菜(大根卸し)を付け合わせて温かい間に供卓す。

参考記事

魚はボラ、カツオ、カジキ等用いられる。

日本料理 02 魚の塩焼き

第四章 基本調理

第一 日本料理

二、焼き物類

(イ)魚の塩焼き

材料(一人分)

アジ 180グラム

準備

魚を三枚に卸し一五〇グラム位に切る(一人一枚の場合はそのまま)

調理法

切りたる魚を水気を去り串に刺し乾いた塩を振りかけこれを火にかけ表面にはよく焼き色を付け裏面は十分火の通るまで焼き、焼き上がったら串を抜き皿に盛り適宜野菜(大根卸し)を付け合わせて温かい間に供卓す。

参考記事

魚はタイ、カマス、スズキ、サワラ、ボラ、イワシ、マス、サケ、アユ等、白身のものこれに適す。

日本料理 01 刺身

第四章 基本調理

第一 日本料理

一、生物類

(イ)刺身

材料(一人分)

鮮魚(マグロ) 50グラム

野菜

大根(ツマ) 60g

おごのり

わさび 少々

調理法

下ごしらえをした魚はマナイタの上で水気を拭い、三枚に卸し、血合い、小骨、皮を去り刺身包丁で行儀よく作って皿に盛り、ツマ、薬味を添えさらに別に醤油を小皿に添えて供卓する。

(註)刺身包丁の使い方、切り方、盛り付け等は実地において熟練のこと。

参考記事

一、魚はマグロ、カツオ等の赤身およびタイ、ヒラメ、カレイ、ブリ、スズキ等の白身のものが用いられる。

二、ツマには大根、ウド、キュウリ、メジソ、防風菊花、おごのり等を配合す。

三、薬味にはわさび、生姜、卸し大根、辛子が用いられる。

四、材料の選択とその旬および新鮮の程度、寄生虫の有無等に十分注意すること。

西洋料理 22 アイスクリーム

第四章 基本調理第二 西洋料理

一〇、菓子類

(ロ)アイスクリーム

材料(二〇人分)

牛乳 2リットル

卵 600g

砂糖 600g

香料 適宜

調理法

一、生牛乳の中に鶏卵と砂糖を入れ静かに混合しながら、弱火にあてて、沸騰に近いまで温める。

その度合い、飯杓子(しゃもじ)を差し立てて上げたると、その汁が薄く杓子につく位が適度である。その時、火から下ろして冷やす。

(この汁を温うるのは、牛乳・卵のに臭気を去るためと、アイスクリームを滑らかにするためであるから早過ぎたり、沸騰させるのは不可なり)。

二、全く冷却したとき、アイスクリーム器に移し、香料を加えてフタをし、その周囲に氷を詰め、塩を混ぜて間断なく回転し汁液を凝結せしむ。

参考記事

時には珈琲、ココア、チョコレート、果物(桃、桜の実、パインアップル、イチゴ、リンゴ、ミカン、梨)等を加えて各々その名称を付ける。

西洋料理 21 スポンジケーキ

第四章 基本調理第二 西洋料理

一〇、菓子類

(イ)スポンジケーキ

材料(一〇人分)

鶏卵 120g

砂糖 120g

麥粉 100g

香料 適宜

調理法

鶏卵に砂糖を入れ十分泡立て(泡立ちを取ると泡が角立ちいる位)これに漉した麦粉を徐々に加えて静かに練らぬように掻き回し、よく混合した後、蒸気釜に油を敷き新聞紙を敷いたものに入れて蒸し焼きとす。竹串を刺して粘った汁がつかぬ時は焼き上がったときである。

参考記事

香料としてレモン、ワニラ油を入れるもよし。多量調理を可とす。

西洋料理 20 珈琲

第四章 基本調理第二 西洋料理

九、茶の出し方

(ロ)珈琲

材料(一人分)

コーヒー 2g

砂糖(角) 12〜15g

生牛乳 10g

調理法

沸騰した湯へコーヒー粉を入れてややしばらく煮て漉し牛乳、砂糖を添えて供す。供する前に牛乳、砂糖を加えることもある。

西洋料理 19 紅茶

第四章 基本調理第二 西洋料理

九、茶の出し方

(イ)紅茶

材料(一人分)

紅茶 2g

砂糖 12〜15g

水 180ミリリットル

調理法

一、紅茶を沸騰した湯煮入れて上下に掻き混ぜ直ちに火より下ろして漉し砂糖を添えて供す。長く煮過ぎると茶が渋くなり味を損ずる。

二、供する前に牛乳、砂糖を加えることもある。